ピアノ №23
駅、空港、港、誰が弾いてもいいピアノ。
いま世界中で人が集まるところにそっと置いてあります、
BS放送の深夜の番組で時々放送されますのでそんな時は
しばし釘付けになって見てしまいます。
誰が弾いてもいいピアノ
ピアノって、そっと、そして激しく、話しかけてくるんですよね、
その人が今おかれている立場など
やるせない気持ちの置き所を探している、ありのままのひと。
自分自身を表現したいひと
ピアノを介して誰かと関わりたいひと
そこには人生そのものがある様な気がします。
ピアノのおかげでとても幸せだった、と94歳の男性。
心の表現ができる、魂の叫びをぶつける人
これから老人施設に慰問に行くおじいさんと孫のデュオ、
時々ピアノ演奏で食いつないでいる六十がらみの中年女性
今はホームレスで仕事を探しているが、このピアノで知りあった
音楽教師とタクシードライバーのカップル。
今、学校での課題曲を練習中の女子学生、
ゲームは誰にも見せられないけれど
音楽は皆に聴いてもらえるし、人を楽しくさせる事が出来るという
小学生くらいの男の子。
欧米のパブには昔からピアノがあったし、
気の合う仲間が一緒になってセッションが始まったり
ライブスペースもいたるところにあるようですね。
こうしてみると、身の回りには何時でも音楽があった
そんな環境に一生を包まれているようです。
翻って、わが日本ではあまりこのような環境には
縁がなさそうですね。
しかし、悲観ばかりはしていられません
わが町の秋の市民祭には三か所ほどに、
ピアノが置かれるようになりました。
たしかに音楽大学もある街なので学生も多く
弾く人もちらほらとでてきました、
とても楽しい微笑ましいピアノが始まったのです。
ちなみに人生をぶつけて来るような人までは、未だ現れませんが。
代表 川上